社内講師のためのスキルアップ研修 実践事例
製造業D社実践事例
製造業D社では、人材開発部の社内講師が社員に対して各業務に必要な知識や技術を教育していた。社内講師は技術教育についての知識や技術は十分であったが、研修は一方的なものになりがちで、受講者が意欲的に参加する研修にする方法を模索していた。
ニーズ調査は、@面談によりご担当者の要望を収集する、
A参加者に「研修ニーズに関するアンケート」に記入してもらう、という方法で行ないました。その結果から、以下のような問題点が判明しました。
- 社内講師は、受講者が主体的に考え、研修にやる気を持って取り組めるように研修が行えていない。
- 研修講師は、受講者が主体的に考え、積極的に取り組めるようになるために、どのように関わればよいのかがわかっていない。
- 受講者の可能性を最大限引き出すことができる人間力を獲得する。(中期目標)
- 受講者主体の学びの場をつくることができる。
- 研修の場、および職場での困りごとを解決することを通して、スキルアップを図る。
具体的には、(社内講師の具体的なニーズにもとづいて設定)
- 横を向いている受講者が、研修に対して前向きに受講するにはどう対応するか。
- 受講者の質問に対して「こうしなさい」と伝えると納得していない。受講者が「よし、やろう!」となるには、どう対応するか。
- 上司からのアドバイスを受け入れない部下にどう対応すればよいか。
- 受講中だけでなく、職場に戻ってからも「よし、やろう!」が継続するには、研修中にどんな仕掛けがあるか。
- 社内講師として人の意見をよく聴き、短くコメントすること、全体をまとめるテクニック。
- 参加者の状態に気づくポイントは何か。(姿勢、態度等)
研修目標の達成のために、本研修を2回、フォローアップ研修を3種類実施した。
@ 本研修 30名程度を2回実施
<研修目標>
- 自分自身が参加者に対してどのような気持ちで関わっているのかを振り返り、より効果的な関わりの手がかりを得る。
- 相手の可能性を引き出すために、研修実施者としてどのように関わることが大切なのかを理解する。
- 参加者主体の学びの場を作るため。そして、社員の意欲の向上と職場の活性化のためには、「ほめる、認める、引き出す」ことが重要であることを理解する。
- 自己理解を深めると共に、研修実施者として現場実践に活かす能力向上のための目標を立てる。
第1日目 | ||||||||||||||||
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A 第一回フォローアップ研修
<研修目標>
研修の場、および職場での困りごとを解決することを通して、スキルアップを図る。
具体的には、(社内講師の具体的なニーズにもとづいて設定)
- 横を向いている受講者が、研修に対して前向きに受講するにはどう対応するか。
- 受講者の質問に対して「こうしなさい」と伝えると納得していない。受講者が「よし、やろう!」となるには、どう対応するか。
- 上司からのアドバイスを受け入れない部下にどう対応すればよいか。
第1日目 | ||||||||||||||||
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B 第二回フォローアップ研修
<研修目標>
- 研修を参加者主体の学びの場にするために、具体的にどうするかを理解し、実践の手がかりをつかむ。
- ファシリテーターとして人の意見をよく聴き、短くコメントすること、全体をまとめる能力を向上する。
第1日目 | ||||||||||||||
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C 第三回フォローアップ研修
<研修目標>
- 受講中だけでなく、職場に戻ってからも「よし、やろう!」が継続するには、研修中に何が必要かを理解する。
第1日目 | ||||||||||||
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今回の研修を通して、研修が一方的な講義形式の研修から、受講者主体の研修へと変える手がかりがつかめた。
「実務に関する研修は受講者主体にするのは困難である」という意見もあったが、この研修を受講した研修講師の中には、実務研修でも参加者主体の学習の場となるように変革するものが現れた。
そして、従来は研修講師が教える立場、受講者は教わる立場という上下関係が研修を硬直化し、研修効果を高める妨げになっていたが、研修後は、受講者と対等な立場で関わり、参加者の能力を引き出すかかわりが増えてきた。
また、副次的な効果ではあるが、人材開発部内のコミュニケーションを活発にすることにも貢献した。
また、人材開発部が中心になって進めている各事業所を対象にした「職場ぐるみ訓練」の企画運営に関する助言、研修の現場に同行しての指導を行い、事業所の職場風土変革にも貢献した。
今回の研修に対する参加者の評価は以下の通りです。本研修 32名、28名。フォローアップ研修24名、20名、23名。
<評価>
非常に有意義だった 88名 有意義だった 38名
どちらともいえない 1名 あまり参考にならなかった 0名
<参加者のご感想>
- 自分を自然に素直に出せる雰囲気にしていただけ、自分を見つめることができた。
- 自らを振り返ることができた。今後の課題・目標が明確になった。
- 受講者に対する肯定的・否定的な行動を詳細に、具体的事例をもって説明してもらえたことは、今後の研修に使える。また、この内容は初めて聞きました。
- 受講者の心理状況を知る方法にもつながる内容だったので、今後の研修を進めるにあたり、参考になるところが大きかった。
- 講義+実習で非常に理解しやすかった。時間的にも余裕がありよかったと思います。
- 説明等にもねらいが明確に示され、「何のためにやるのか?」「なぜそうするのか?」もわかりやすかった。
- ディスカッション形式がよかった。
- 非常に北村先生のひたむきさ、誠実さが感じられた。
- 同じ会社の中でも違った部門から集まった皆さんを、目的に向かって見事に思いを一つにして進められ、参加した方々も日常の研修とは違った何かを感じることができたと思う。気持ちよい場があったと思います。
- 本研修、フォローアップ研修を通して、自分の考え方や姿勢がだんだん固まってきた。自分の研修で実践してみてなるほどと理解できたこともある。やはりすぐに実践することが大切。
- 日頃語り合えない他の研修所グループの人たちと話し合えたことが、今後の人材開発部での職場生活にプラスになる。
- 人材開発部内の横断的なコミュニケーション手法はいろいろととられているが、この研修はその点で最適であった。(各自の問題点、改善点を出し合うことでよい共有化ができた。)
以上